ゴールドラッシュの後で・・・DSL

NOAH VOICE - 浅草六区SHOW -

1980年代後半〜1990年代、海外では「オルタナロック」と呼ばれるジャンル?カテゴリー?従来のビートルズやストーンズ、U2とも明らかに違う波が来ていた、「ブラー」「オアシス」「ストーンローゼス」などヒットチャートを賑わせるバンドらもその後多くのフォロワーを産んできた。

そんな中、日本でも密かに一部のマニアックなロックファンに絶大な人気を誇り、いわば玄人受けする集団が「Dr.StrangeLove」(DSL)だ、奥田民生やPuffyといったヒットを生み出すサウンドに欠かせないメンバーがそこにはいた。

説明の必要はないが、Bass根岸孝旨、Guitar長田進、そして結成当時はDrums古田たかしという布陣だ。アルバムは全て所有している、散々聞いてきた番組でもかけていた。そんな彼らが久々に再会し、ライヴをやるという。ニュースが入ったがすでにSold Out!

6月11日東京・桜新町「ネイバーズ」追加公演となった。これは行くしかない何せ生で見る初めてのDSLなのだ。

高鳴る思いを胸に世田谷の住宅地を歩くと会場である、ライブレストランと言えばいいのか、洒落た会場は今回の彼らの気分を表している。

 

会食の後ほろ酔い気分でいるとほぼ定刻通りバンドの3名がステージへ現れた。なんの挨拶もなく根岸のベースノイズと長田のギターの歪み、椎名のハットがワクワクする気持ちを代弁する。まるでヨーロッパのプログレバンドのようなオープニング。「やられた、そうきたか!」

いきなり、開演前から楽しんでいたハートランドが聞いてきた中、初DSLのショーが始まった。そのバンドのアンサンブルはまるで60年代後半のある日の「Cream」を彷彿とさせる、次に誰がどんなリズムをうねり出すのか想像もつかないほどの底にはバンドならではのスリルが存在した。

これは大したバンドだぞ

 

 

安定のぶっとい音は健在です。ベース&VO 根岸”ネギ坊”孝旨

このバンドの要であるぶっといベースは50年代から続くスタックスサウンドを支えたMG’sのダックダンのマナーを継承するかのような決して目立つ存在ではないのだがなくてはならないそんなソウルフルなベースをこの日も聞かせていた。しかしながらCoccoのバンドサウンドとは明らかに違うリズムがそこにあった。

この日は遠慮がちに感じた歌も、本当はもっとたくさん聴きたかったというのが本音だ。しーたかさん時代の「泣きたいくらいのコミュニケーション」や「手のひらの中のFreedom」などの人気曲も是非、彼のベースを弾きながらの歌で再現してほしいと感じた。

 

鉄壁のアンサンブル、最強トリオそれがDSL

今回一番の興味はドラムでした。「椎野恭一」これぞロックバンドのドラムのお手本とでもいうようなセット(3点セット)いやあ、お見事なスタイルはまるで60年代のジンジャーベイカーが根岸というジャックブルースと自由に絡みまくるこれがGrooveなんだと言わんばかりの細かいスティックが椎野のセンスを伺えた。

正直、しーたかさんのイメージが強かったので最初はどんな感じだろうと思いましたが、全くの違うアプローチは大成功でこの日のライヴの間違いなく立役者であった。チャーリーワッツという巨人の後で堂々と自分らしさを表現している2024年型のRollig Stonesのスティーヴジョーダンを彷彿させるプレイスタイルには頭がさがる。

無駄な音がひとつもないやはりスネアがロックと言わしめるプレイに脱帽でした。

 

 

日本を代表するスーパーギタリスト長田進

そして、長田進だ。そのギタープレイ「完璧なまでの再現」を実現してくれた。本人曰く「今回は古い歌中心だからね」と言われていたように四枚のオリジナルアルバムと一枚のサントラから満遍なく選曲された歌たちにまるで「おかえり」と迎えているようなこの日のオーディエンスの笑顔。

何よりこの日のほとんどの歌を長田のvoで聴けたことは大収穫だったのじゃないか、その歌はこれでもかと歌い込むのではなくあくまでも囁くようにある時は激しくも苦しくその歌の表情を表す、それはこの日多用されたテレキャスターと共に長田進の体の一部のようであった。

あっという間のステージは途中休憩を挟んで2部構成、美味しいお酒や料理を楽しみながらの贅沢な時間。アンコールの「Aplle Tree Song」のアウトロのノイズ流れる中、次の予告もなくバンドはステージを去っていった

これぞ2024年型DSL

宴の後この完璧なショーを見た上で少しの疑問があった、それを長田進にぶつけてみた。「新曲はやらなかったですね?」そう、昨年末に2曲配信された新曲がやはりライヴで聞いてみたかった。「そうだね、次はもう少し大きな箱でね!」またライヴ中、根岸のMCでも「地方でもやりたいね」と

そうです。DSLはまだまだ転がり続けていくようなのです。これは嬉しかった。次回はもう少し短いスパンでの再会とのこと、是非、アルバムの制作もチャレンジして欲しいと思うのは少しわがままだろうか?それくらいこの日のライヴの充実感はまだまだ「日本のオルタナロック」健在というバンドの勢いを感じた。

今日は上野駅から北陸方面へ移動しているもちろん旅のBGMは「Twin Suns」だ。いい気分で生きていけそうだ

文・瞳次郎 写真・YOKO

 

 

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