8月のレコーディングの最中, 嬉しい便りがきた。
しーたかさんからだ、安斎肇さんとの新しいバンド、「ANZAIFURUTA」のニューアルバム
「うーゆばりあ。」
お二人のこれまでの音楽活動の数々は、例えば「変態だ」サントラや、「ホヤホヤら」などジャンルやカテゴリーを飛び越えた、その場その時に寄って姿を変えて僕らの前に現れては一瞬で消えるまるで幻をみているような、そんな音楽を教えてくれた。
まず、音楽を聴く前に僕は一足先に聴いていた、あの歌から勝手に今回は極めてアコースティックなゆるーく、優しい空気の作品を予想していた。それはしーたかさんの奏でるアコースティック楽器、これがいいんです。
しかし、見事にその予測は外れていい意味で大きく裏切られた。
新しい日本のオルタナロックの形、一言では言い表せないくらいの衝撃に圧倒されつつもあっという間に聴き終わり、また頭から繰り返し、まずは連続で三回は聞くことをお勧めしたい。
まずは今回のコンポーザーである、安斎氏の音楽的、ロックの知識の多さと、引き出しの多様さである、曲ごとの言葉選び、歌い叫び、唸り語る、こんなロックヴォーカルは聴いたことがない、まさにある日のアンディーウォーホールであり、トムウエイツであり、黒澤明であり、心のボスである。
サウンドは随分と前から蓄積していたであろうアイデアを思う存分、吐き出した感のある、さすがわしーたかさんです。音楽関係者が誰もが認めるコレクターであり、その栄養を体全部で表現できる世界でも数少ないミュージシャンであり、今回ほとんどの楽器も手がけるという離業。
ある時はニューヨークのアンダーグランドに彷徨う地下鉄、ある時はハイドパークに佇む霧の中に浮かぶジェネシス、随所に見え隠れするタル的なエッセンスは間違いなく肝だ。そして、まだ見ぬリバプールの軌跡からあのロンドンのマーキーのベロマークまで
これでもかという古き良きロックマナーと思わずにやけてしまうやばい香り、まさにこの二人にしか出せない世界がこの一枚に収められている。これからこのアルバムに触れる機会のある皆さんに、それぞれの楽曲についてはあえて触れません。
しかし、ラストナンバー。これだけは心して聴いてください。
ある日のラジオ収録のために訪れた地下室で聴かせていただいたあの日のあの歌、手書きの歌詞カード、アコギを抱え歌う姿、放送後も余韻が電波を越えて風になる。これまで多くの戦友といえる人との別れ、それをこんなにも優しい言葉で歌えるしーたかさんは、類い稀なミュージシャン何だと思う。
いよいよ、9月6日からCDが発売になり、11月にはLPも登場するという。今後配信も検討されるという、どんな形であれひとりでも多くの皆さんに触れて欲しい、まさに「シンプルにはいかない」作品です。
これぞ、日本のオルタナロックアルバム登場!