ストーンズが動いた日
お台場でストーンズのLets Spend The Night Togetherが爆音上映されるという。
ネットでも話題になっている。
そもそもこの映画が上映されたのは、今から36年前、私は大学1年生でした。
仲のいい音楽仲間とバンドを始めたり、夜ごと誰かの下宿でレコード聞いたり、
勉強はそこそこの脳天気な生活三昧でした。
そんな中、常に我々の中で一歩も二歩も先を行くK君が教えてくれた
「stonesがええで!」最新アルバムの「刺青の男」「still life(live)」は毎晩かかっていた。
彼は金髪でベスパーにのりいつも登校していたが、
ある日「Nちゃん、中華街の古着屋行かへん?」「Nちゃん、新宿LOFTのレゲエライヴ行かへん?」
「Nちゃん、roxy music行かへん?」といつも私を知らない世界に連れていってくれた。
最初に聞かせてくれたbootleg(海賊版)も「live at hanpton/rolling stones」だった。
そんな彼がいつも行っていた「ストーンズは日本には来れないよ、いろいろキースが問題あってね。
でも来年、沖縄の米軍基地でオーストラリアの帰りにお忍びでコンサートやるゆう情報があるんだ、一緒に行こう・・・・」
なんて夢のようなデマを平気でいうやつだ。
ほどなく「Nちゃん、ストーンズの映画がくるでーーーー!」興奮してやつは来た。
横浜ジョイナスムービー。前売り券にはバッチが付いていた。
僕らは興奮した。映画館には僕らを含め平日の10時、10人くらいでした。Kは始まったら微動だにしなかった。
僕も動くストーンズに身動きが取れなかった。終演後、いつもの居酒屋にはいかず、Kはベスパーを転がして帰った。
放心状態だった。奴を最後に見かけたのはそれきりだった。
横浜のライヴハウスに先輩のバンドのギターでひっぱられ、ほとんどセミプロで活動して、ほどなく大学にも姿を現さず、奴の下宿もあのレコードのヤマももぬけの殻だった。
Kは僕の前から姿を消してしまった。
1990年それからストーンズが日本に来るまで8年かかった。
大学を卒業し、まともに就職し、4年後だった。
残念ながら沖縄のコンサートは幻だったけれど。
私はこの映画のことを知り、また新宿あたりの路地裏からまた金髪頭のKがベスパーに乗り、
「Nちゃん、ストーンズの映画久々に行かへん?」
と表れるんじゃないか?と期待していたりする。