怒涛のアンコール、時計は既に8時を回っていた。と、いうことは5時開演から早、三時間は経過している。楽しい時間もあっという間というか、それにしてもステージ上の二人の体力も並々ならぬものだ。
真っ赤な大谷さんTシャツに着替えたNOAH、これは、実兄から還暦祝いに贈られたものだという。リクエストからとギターを静かに弾きながら歌い出したのは、やはり広島が生んだスーパースター、の1981年の名曲。客席は大合唱、まるで大カラオケ大会。
ライブでカヴァーを歌うNOAHを観るのは珍しいことで、これもまた広島でのサプライズなのだろう。
この日は黒のストーンズタンクトップに着替えたYOKOと、いよいよアンコールだ。お馴染みのナンバーもKyOnアレンジに生まれ変わり、イントロからオーディエンスは総立ちの大合唱。後半はお馴染みのロックンロールメドレーで興奮の坩堝と化す。
改めて客席のオーディエンスの顔を見渡すと、笑い、泣き、歌い、コロナが過ぎた平和を感じずにはいられない。そして、今ここヲルガン座には、愛がある。
ライヴはいよいよラストソングへ。ここでのNOAHのメッセージ、確かに受けとりました。いろんな世代へ向けてそれぞれの受け止め方は、あるにせよ。誰にでも夢はあり、その夢は叶えられる、、、
深々とお辞儀をするナシゴレンへ、大きな拍手とグレイトサッチものワンダフルワールドが、最高のフィナーレ。
どこの事務所やレコード会社に所属もなく、ヒット曲もない、知名度もなく、若くもない、今年還暦を迎えたNOAHのこれからも続くであろう、夢の続きを一緒に見続けたいと思う。それは彼の夢でもあるし、もしかしたら私たちの夢でもあるのかもしれない。
これで最後の広島ライヴ、きっとNOAHはこの二十数年この街で出会った思い出のアルバムを一度ここで閉じたのだと思う。
年内には、まずシングルが年明け早々には、アルバムが準備されている。そして、ツアーファイナルは東京で予定されているという。今の彼を観に今のNOAHに会いに、この目で夢の続きを観に行く価値はあると思う。こんな時代にこんな暖かい空間は早々はないから。
ヲルガン座を後にしたら何だか平和公園まで夜の散歩してみたくなった。
2023年9月23日 広島ヲルガン座にて
続く
文、瞳ジロー