よく晴れた五月の週末、茨城での仕事を終えて、二月以来の久々の下北沢へ
奈々子さんと長田さんの部屋へ行くために。
街を彷徨くのは久々、自分のライヴではそんなじかんもなく、少し早めにきて街へ
その昔は演劇や小劇場の街、今や古着屋とカフェとそしてライヴハウスな街へ
会場のラウンは二度目、多分三年振りくらいだと思う。その間、番組では幾度となくwinter rose をかけ、長田さんにはスタジオにライヴにセッションでお世話になり、数々の大会場でのロックギターを目撃した。でも、今夜は特別な夜だ。
なんと目の前に二人がいる。
ライブは、意外なナンバーからスタートした。細野さんのファーストソロアルバム、細野ハウスから、あのろっかばいまいべいびい。しかし、第一声から佐藤奈々子の世界に引き摺り込まれた。この日の選曲はまるで万華鏡のように僕らをワクワクさせる。
この日の選曲は、ファーストアルバムから最新アルバムまでタイムマシーンのように時代感を感じることなく、いまの佐藤奈々子の歌、等身大の今の音たちが部屋の中で轍を描いているような世界観。ムーンライダースとのコラボナンバーや、初期の歌でさえまるで最近の新曲のように新鮮に聴こえる。
なんとも心地よい時間はあっという間に過ぎていく。佐藤奈々子の語り、歌、仕草、その全てが本物でいい塩梅に力の抜けた音たちが、まあ無理しないでいきましょうよ!なんて語りかけてくれているようだ。
忘れてはいけない。この日のもう一人の主役、長田進。この日は2本のギターを巧みに弾きこなし、その姿はさながら伝統工芸職人のように、その研ぎ澄まされたギターから奏でる音が佐藤奈々子の声を歌をより一層引き立たせる。多分今の日本でこんなギターを弾ける人は他にはいないんじゃないだろうか?
まさに職人技。途中のチューニングまでもがまるで一つの曲なんじゃないかと思わせる無駄のなさ。考え抜かれた様々なフレーズを最も簡単に絡ませる、この二人にしか出せない音が、瞬間が奇跡がこの夜は何度も訪れた。
アンコールでのあのロックンロールのあのスタンダードはサプライズか?これもこの日のささやかなプレゼントとして受け取った。
ショーが終わり、長田進さんに先日のライブゲスト参加の御礼を直接お伝えして、奈々子さんにご挨拶させていただき、会場を後にした。
まだ人並みが溢れる下北沢の駅に向かう途中、なんとも言えない満足感と、暖かいハートを感じて帰路へ。またいつかこんな素敵な空間にこれることと、今度は二人がどんな新しい音に出会わせてくれるのか楽しみでしかたない。
奈々子さん、長田さんありがとう。
次はwinter roseであいましょう。