平日でも池袋は人が多いねえ、なんて夕方の街を僕らは歩いていた。若い人たちが笑い、親子連れが交差点を歩く、忙しそうにビジネスマンがスマホ片手に時計を見る。
いつもと変わらない風景、ただいつもと違うのは、マスク
そうだ、我々の生活にはなくてはならないものになってしまった。
なんだか懐かしい感じのする街の映画館でした。学生の頃は街中のこんな感じの映画館で三本立てなんかを半日がかりで見に行っていた。
かくも長き道のり、というタイトル。
忘れ物を探しに来ました、という言葉が、ふと心にきた。
映画はあっという間に終わった。本当にあっという間に。
ありきたりな感想を書くのは野暮だ。あなたの目で確かめてほしい、この一年で失ってしまった、いろんなものがここには丁寧に描かれていた。
それは、こころだったり、寂しさやこどくだったり、せつなさだったり。僕はいつも夢を語っている。でもその夢を見ることはことの他、大変だとと言うこともわかる。
現実から逃げたい日もある、でも僅かな時間に映画館で映画を観る幸せもアルンだなと思う。
帰りの道道で僕らは互いに映画の感想は話さなかった。それは何だか話したらもったいない気がしてね。
ただ、帰ったらスウィングジャズのレコードでも久々に聴きながら踊りたいな。
映画、かくも長い道のり
監督、脚本 屋良朝建 プロデューサー 吉田紀子
池袋シネマロサ 2月19日まで、レイトショー公開中